フリーランス・個人事業主の方へ、どうする!インボイス制度。2023年から売上の10%納税が必須に!
2023.9月 追記
この記事は2020年8月1日に書いたものです。
現在2023年9月に追記していますが、実際にインボイス制度は開始されていますが、現在登録者数が大変少なく、反対運動も進んでおりその結果、経過措置としてこれから3年間は、クライアント側の仕入税額控除が80%残る事になりました。これにより実質クライアント側の損失は消費税分の20%程度ととどまり、場合によっては免税事業者側も、消費税中の2%分を割引するなどの交渉が可能になりました。また、それを拒否したり不正に圧力を与えるた場合公正取引委員会等より罰せられるという事なので、実質あと3年、ないし、さらに経過措置はもう3年間までは仕入税額控除が50%残るため、合計6年間は免税事業者で有ることが続けられそうです。
しかし、6年後の2029年からは、免税事業者ではいられない可能性が高いためそれまでに売上を上げておく努力が必要になります。
インボイス方式(インボイスほうしき)とは、仕入税額控除の方式の一つで、課税事業者が発行するインボイス(請求書等)に記載された税額のみを控除することができる方式のことである。Wikipediaより
と、ネットで説明はありますが、あまり詳しくない方のために、要点を簡単にご説明したいと思います。
私もフリーランスとして仕事をしているので、収入に直結する、重要問題がのこり三年ほどに迫っています。この大変な時期を乗り越える為、しっかりと準備を整えないといけません。この難曲を乗り切るための提案もご紹介いたします。
消費税の支払いが免除されている[免税事業者]について
「免税事業者」とは、現在、売上が1000万円以下の事業者に限り、消費税の納税が免除されています。(免税事業者とは消費税を収めなくても良い事業者の事です)私もこれまで確定申告で消費税の支払いを請求されていないので、あまり意識することも無かった事です。
これは、1989年(平成元年)4月竹下内閣の元で消費税が導入する際に、国民からの反発を和らげる為に免税の措置がされたようです。これにより中小零細、フリーランスは、お客様から受け取った消費税をそのまま益税(えきぜい:利益になる税金の事)として利益に入れてしまえるというものです。
そもそもインボイス制度ってどういう事なのか?
インボイス制度は、売上1000万円以下事業者の免税事業者制度を廃止する、というものではありません。
インボイスとは日本語で、“請求書”という意味です。
そしてインボイス制度は現在、事業者は請求書をクライアントに送る事により収入を得ているわけですが、この請求書を保存し、クライアント先の仕入れに計上される消費税分を控除される仕組みになっています。
インボイス制度では、このクライアントが消費税分を控除するにあたり、「適格請求書」だけが、控除対象になるというものです。
この適格請求書は、「課税事業者(消費税を収めている事業者)」だけが発行出来るという仕組みが、インボイス制度です。
インボイス制度の何が大変なのか?
まず、免税事業者は「適格請求書」を発行出来ない。
↓
「適格請求書」が無いと、お客様消費税の控除を受けられないので損をする事になる。
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事業者は、お客様のために「適格請求書」を発行しないと仕事を受けずらくなる。
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そのため売上が少なくても、「課税事業者」になる必要がある。
↓
売上の少ないこれまで免税事業者だったフリーランスや個人事業主も、今後は消費税を収める必要が出てくる。
これにより、収入の少ない免税事業者で、何とかギリギリやってきた方などは、致命的な大打撃を食らうこととなります。年間の総売上の10%が消費税です。約1ヶ月分程度の売上額を新たに追加で納税する必要が出てきます。
しかし、そもそもお客様から預かっていた消費税を収めるだけじゃないか!という意見もあります。
この免税措置については、たしかに賛否両論はありますが、零細企業やフリーランスはそもそも企業としての競争力が弱いため、救済策としてなされていた経緯もあるようです。
そして、消費税導入より31年続いた免税措置は、経費や売上計算の中に浸透しおり、そもそも競争力の弱い零細企業やフリーランスは、価格競争などによりユーザーに対して、“割引的”に吸収されてしまっている現状があるようです。景気低迷などの理由で運営が厳しい企業やフリーランスにとっては、インボイス制度導入の時は、とてつもない大打撃となる事がわかっています。これにより力の弱い業者の多くは廃業する事になると言われています。
インボイス制度対策として
残りの3年程度の期間で、私達フリーランス事業者が出来ることは、何でしょうか。
まず、収益と消費税の金額を見直す必要があります。
これまでは免税分は、利益とされていたため、免税分も含めた“全ての利益”を元に、価格決定を行っています。(市場の価格競争により競争力の弱い零細企業やフリーランスはギリギリまで価格を下げる必要が出てくる場合がある)
私達フリーランス事業者は、事業継続のため、最低限必要な利益を確保するため、インボイス制度のスタートに伴い、料金の見直しが必要となる可能性があります。
これまで十分な利益を得ていた事業者であれば、納税しても十分に事業継続可能だと思いますが、比較的低料金で事業を行ってきた事業者は、まず料金の変更を検討するしかありません。
これには、クライアント先に、正式な書面で料金の変更を伝え、理解を得るほかありません。
事業内容の見直し・販路の開拓・販促の強化
上記の料金の変更については、仕事の受注状況により可能な事業者もいれば難しい事業者もいると思います。その場合は、新しい販路の開拓や、事業内容の変更など、大きく事業自体を見直しするしかありません。
私も、これまでのお客様に、全て価格転化する事は難しいと考えています。そのため、事業の拡大や、営業方法の見直しを考え進めていく必要があると考えています。
景気悪化により、大変厳しい運営状況の事業者は沢山おられると思います。
ここは、まだ、力が多少でも残っているうちに対策を講じなければなりません。
事業内容の見直し
事業内容は、とても重大な決断の1つです。単に仕事内容を変えるという選択は、場合によっては倒産の危機に陥る可能性もある事です。しかし、フリーランスや零細企業は、身軽でもあります。まずある程度の予算を組んで、新規事業にチャレンジをする事も検討すると良いかもしれません。
完全に新しい事業を始めるには、ハードルが高く、売上の見込みも立てられないため、難しいと思います。
出来れば、現在行っているメインの事業内容に関連していたり、ノウハウを活かせる事業を見つける事から始める必要があります。そもそも売上1000万円未満の事業者ですので、例えはレクチャー本の出版(自主出版)や、動画配信、新しい販売商品の開発、オリジナルデザインのマスク販売等々、低予算で可能な事業から考えていく必要があります。
販路の開拓
次に考えるのは、これまでの顧客には、価格転化が難しいとお話していましたが、新規の顧客獲得に力をいれる事で、新しい価格で勝負が出来ます。当然、価格が上がる事で、ビジネスの強みがこれまでより必要になってきます。そのためのスキルアップや、人脈の獲得など、様々な努力も必要となってきます。
販促の強化
上記の販路の開拓と繋がりますが、新しい顧客を獲得するための販促(販売促進)の強化も考えると良いかもしれません。販促の方法は、チラシ配布(折り込み・ポスティング)、DM、新聞広告、サイン・看板類、SNSやSEOを使った、最新のWebマーケティングなどが主な販促方法と考えられます。
販路開拓のための、販促については、「持続化補助金」を検討すると良いかもしれません。
持続化補助金は、今後の販路開拓のために、公的な補助金を受ける方法です。これにより、販促費用の大半を補助金として受けることが出来ます。また、販促方法については、DM(ダイレクトメール)や、Webサイトの制作・Webマーケティング、その中でも低予算で自分で行っていくSEO対策やSNSマーケティングが有効です。
もし、販促についてお困りの時は、いつでも私にご相談して下さい。
▼給付金・補助金についての過去記事です。
最後に
中小企業・零細企業・フリーランスにとって、長く続く景気低迷と、消費増税、コロナ禍での事業悪化など、厳しい状況が続いており、私達もこれまで通りの仕事をやっていてはいつか廃業になってしまう。という危機感を持つことが必要だと思っています。
まだ、ある程度の力が残っている今のうちに、何らかの手を打つこと。また次の時代に適した事業が始められるよう、勉強を始め、準備をする事が必要になっているようです。
今後、クリエイティブマガジンでも、この不景気に対応できる技術やアイデアを発信したいと考えています。
編集後記
今回の記事は、私自身の話です。これまで良いクライアント先や講師業の収入により、安定して生活をしており、家庭を持つ身にもなれましたが、この20年、10年の間に、少子化の影響や、自分自身の仕事、その他の社会的な問題などで、少しずつ自分の立ち位置が壊れてきています。
これまで通りで良いと思っていては、時代についていけないと感じています。
新しい技術に食らいつき、これまで避けてきた営業・販促も積極的に行い、何でもやっていかなければ将来が無いと思える時代となって来ているようです。
誰かが世の中を良くしてくれると、願っていてもどうにもならないかもしれません。自分が今、出来ることからやっていく事で、段々と道がひらけていくと信じて、この難曲を乗り越えたいと思っています。
販促や広告制作、Web制作、そして今書いている記事もWebマーケティングとして行っているオウンドメディア。やれる事があるうちは、まだ大丈夫です。
そしてビジネスは楽しく、明るく頑張ることも大切です。皆さん一緒に頑張りましょう。
このブログは、基本的に毎日更新です。明日の記事もお楽しみに!
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代表 大津山 倖雄
クリエイティブディレクター
アートディレクター
Webディレクション、イラストレーション他、専門学校講師
1973年生まれ。福岡市で広告企画・制作に携わり30年以上。大手広告代理店の下請け会社で、グラフィックデザイナーを経験。その後、福岡の制作会社や広告代理店勤務を経て、平成18年4月に退職し、19年には個人事務所として独立。同時期、福岡デザイン&テクノロジー専門学校(旧 福岡コニュニケーションアート専門学校)にて講師契約。現在は、グラフィックデザイン、イラストレーション、WEBデザイン、WEBマーケティングに携わり、様々なクリエイターと共に制作を中心に業務を行っている。