デザイナーのしごと環境。パソコン選びについて
今回は、長年グラフィックデザイナーとして仕事をする時に、どんなマシンを選べば良いのか?
また、マシン以外にどういった環境に気をつけているのかをご紹介します。
グラフィックデザイナーが使うパソコンとWEBデザイナーが使うパソコンについて
まず、一般的にグラフィックに関わるクリエイターといえば、「グラフィックデザイナー」や「WEBデザイナー」がまず思いつきます。
一般の方から見ると、どちらも似たような部類に見えてしまいますが、やっている作業に重なる所も多いのですが、実際に行う業務においては、大きく違っている事があります。
グラフィックデザイナーは
主に、リアルに見えるデザインを考える人だと思っています。例えば、私が毎日やっている仕事でもある、広告デザインや印刷物のデザイン制作。他にも看板類や商品のデザイン、店舗の外観や、ディスプレイ、ロゴマーク等のCI類など。
WEBデザイナーは
主に、WEBサイトの構成やデザイン、コーディングから、WEBプログラミングなど。さらにWEBマーケティングに関わる様々な作業やコンサルティングも行うこともあります。
これらの中で大きく違っているのが、作業の最終的な納品形態ですね。
グラフィックデザイナーは、実際に印刷やプリントされるものを作ります。WEBデザイナーは、パソコンのモニターやデバイス上で見えるデジタル表示されるものを作ります。そのため、作業環境が違ってきます。
グラフィックデザイナーが利用するパソコンはMacintosh(マック)
グラフィクデザイナーの使用するパソコンにAppleのMacintosh、いわゆるマックがよく使われている件について、これまで27年前の時点では、国産のパソコンで線を引いたり図形をつくる事が出来ていましたが、すべての操作をコマンド入力で行う旧式のインターフェイスでしたが、Macintoshが登場し、直感的に操作できるAdobe Illustrator(アドビイラストレーター)が登場し、デジタルグラフィックが一気に広まった経緯があります。その際に、Illustratorが対応しているパソコンが、Macintoshだったというのが最も大きいですね。
フォント環境や、周辺機器、OSの操作性や安定性など、全てにおいて、当時の他社パソコンは太刀打ち出来ていませんでした。
その後も、仕事で使う道具である事と、Adobe製品がMacintoshとの相性がいい事もあり、ずっとメイン機はマックで有り続けました。
そして、現在に至るまでに、iMacやMacBook、MacBook Proと、様々な機種が生まれてきたわけです。
ただ、見た目がお洒落だからという理由で、メイン機にしているわけでは無かったんですね。
WEBデザイナーの使うパソコン環境は独特です。
WEBデザインが一般的な職業になるのは、20年ほど前ぐらいからかと思います。時代的には、インターネットの常時接続が普及し始めた頃で、WEBデザイン自体は存在はしていましたが、一般的な職業ではなく、プログラマーやグラフィックデザイナーが制作していたのですが、その後WEB技術が上がっていくことで、専門のWEBデザイナーが一般的なデザイナーと言われるようになっていきました。
WEBの世界では、印刷したりリアルにプリントして見ることは基本的にはありませんので、モニター等のデジタルデバイスで表示されます。また、WEBサイトというのは、ブラウザ(IEやsafari等ネットを見るソフト)に依存しており、ブラウザの種類や、パソコンのOS(オペレーティングシステム)、例えばMacOSや、WindowsOSにより、表示され方が微妙に変わってしまいます。色味やOSのバージョンなど、様々で、そういった種類をある程度網羅するため、MacとWindowsの両方を使う方も多かったと思います。
また、WEBサイトの閲覧は、Windowsユーザーが圧倒的に多かったため、制作の基本はWindowsを使って行う人が大多数でした。
実際に、ここ最近に至るまでに、Windowsも性能が大幅に向上し、MacOSに引けを取らないほどになり、Adobeの製品もWindows対応になりました。そのため、メイン機にWindowsPCとサブ機にMac(Mac mini)等を使う人が多かったかと思います。
現在は、OSの差が少なくなり、WEBサイトも以前と構造が違ってきており、OSにあまり依存しなくなっているようですので、機種を選ばず好きなものを使う人が多いようです。
ただ、ビジネスユーザーやプログラミング系のデザイナーはWindowsをメイン機にする人が多いようです。
Macにも色々あるが、どれが良いのか?
グラフィックデザイナーとして仕事をする上で、良いセレクトを考えていました。
性能について
基本的に、フォント環境や操作性やインターフェースに慣れている。グラフィックなどの良さで、MacOSを選ぶ人も多いのですが、選ばれる要因に“見た目がおしゃれ”という要素があるようです。
一般論ですが、グラフィック系のデザイナーの多くは、システマティックなPCの汎用性や機能より、ブランド的なかっこよさも重視するようです。そのため、現在でもMacを利用する人が多く、Illustrator等は、Windowsでも申し分なく動くし、フォント環境や周辺機器にいたるまで、その差はなくなっています。
使う側の、愛着というのも多少あるようです。
機種に関しては、以前は、ハイエンドタイプの Mac pro が目標で、大きくてパワーと汎用性重視のMacを使っていましたが、ここ10年ほどで、ノートブックタイプのMac、“MacBook Pro”の性能が飛躍的に上がった事で、何処へでも持って行けて、性能はメイン機として十分、また街角で使っていてもおしゃれな、MacBook Proが人気です。
モニターのサイズは現在は15インチや最新の16インチタイプが、作業効率を考えるとベストですが、多少サイズの小さなものでも、事務所のモニターに接続する事で、デスクトップPCと同様の使い方も可能です。
購入時に、メモリやグラフィックボードなど、カスタマイズ可能ですが、重視したいのが、ハードディスクのSSD化です。
HDD(ハードディスクドライブ)から、SSD(ソリッドステートドライブ)へ変更する事をおすすめします。
これまでのディスクが回転してデーターを保存するタイプから、半導体を利用してデータを保存するタイプになる事で、保存や起動スピードが倍増します。データのエラーも少なく、今後は標準になっていくと思います。現在はまだ値段が高いので、大容量のSSDはちょっと高くなってしまいます。
現在もハイエンドタイプのMacであるMac Proはありますが、性能に関して、グラフィックデザイナーの使用用途ならノートブックタイプで十分と言えます。
CDCGや映像編集などを行う人は、より性能の良い機種を選ぶようです。
最後に
私も15インチのMacBook Proを使っていますが、そろそろ新しい機種に変えたいと思っている所です。新品を購入すると非常に高額なので、中古を狙っていたのですが、最近16インチタイプのものや、性能の良いものが多く出てきており、中古でも金額があまり落ちていない事もありますので、どうするか迷ってしまいますね。
また周辺機器やアプリケーションについても、いつかご紹介したいと思います。
因みに最新のMacBook Proは、25〜26万円程度で購入出来ます。中古では、一つ前程度のものでも20万程度はします。結構古い型落ちだと、5〜6万円程度もありますので、とりあえず入門として購入するのには中古のMacBook Proもけっこう使えます。
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代表 大津山 倖雄
クリエイティブディレクター
アートディレクター
Webディレクション、イラストレーション他、専門学校講師
1973年生まれ。福岡市で広告企画・制作に携わり30年以上。大手広告代理店の下請け会社で、グラフィックデザイナーを経験。その後、福岡の制作会社や広告代理店勤務を経て、平成18年4月に退職し、19年には個人事務所として独立。同時期、福岡デザイン&テクノロジー専門学校(旧 福岡コニュニケーションアート専門学校)にて講師契約。現在は、グラフィックデザイン、イラストレーション、WEBデザイン、WEBマーケティングに携わり、様々なクリエイターと共に制作を中心に業務を行っている。