デザイナーが好む 魅力的な欧文フォント4選
今回は、私達グラフィックデザイナーが選んだ、よく利用されている書体(フォント)についてお話したいと思います。
文字を使ってデザインする場合、その文字自体がグラフィックの一部となる場合、タイポグラフィーと言ったりします。このタイポグラフィーでは、一つ一つの文字(フォント)の形状や雰囲気を考慮して選んでいきます。
また、そのまま使用するよりも文字と文字の間の字間やフォントサイズ、文字の太さなどを考慮して様々なデザインをします。
今から四半世紀前からこれらのフォントは使われており、現在でもグラフィックデザイナーが好む書体です。
やはりそれには理由があるようです。
バランスが良く基本書体として使えるが
十分個性的なフォント「ボドニ」
Bodoni [ボドニ]
ボドニは、イタリアの印刷工で書体デザイナーである、ジャンバッティスタ・ボドニ(1740年-1813年)という方がデザインされた「ラテン系のサンセリフ体」でモダンフェイスに分類される。
広告デザインなどで人気の高いフォントです。
ボドニはイタリアで生まれただけあって、イタリアのイメージにぴったりなフォントですね。また、セリフ体(日本語では明朝体的なフォント)として、高級感や格式の高い場面でも使えるフォントです。レストランのメニューなどに使っても良いかもしれませんね。
幾何学的だが絶妙なバランスでタイトルやロゴ制作に
使える汎用フォント「フーツラ」
Futura [フーツラ]
フーツラは、ドイツのデザイン学校であるバウハウスの非常勤講師であるパウル・レナー(1878年 - 1956年)が発表した「ラテン系サンセリフ体」のフォント。ラテン語で「未来」を意味しています。ルイヴィトンなどのロゴなど多くの企業ロゴなどでも起用されている。
一時期、ネットでも人気だったフーツラ。フーツラファミリー(同書体の太さ違い)の太いフォントの場合は、コロコロした可愛いイメージもあり、ロゴマークにもよく使われるのですが、使い方次第では非常におしゃれなイメージにもなります。円や直線など幾何学的なのもロゴにしやすいフォントです。因みにアドクリップのロゴマークもフーツラを使用しています。
スタンダードで使いやすい基本書体。
美しいデザインのサンセリフ体
Helvetica [ヘルベチカ]
ヘルベチカは1957年スイス人の書体デザイナであるマックス・ミーティンガーとエドゥアルト・ホフマンが発表した、「サンセリフ体」
AppleのMacintosh(Mac)標準フォントで有名。
ヘルベチカは、ラテン語でスイスを意味する形容詞。
1964年の東京オリンピックの広報に起用されてから、日本の広告業界などで多く使われるようになった。
ヘルベチカは、私がまだ若い頃に会社で当たり前に様々な場面で使われていたフォントでしたので、使うのが当たり前でした。数字も美しいので、値組(商品の価格)に使ったりしていました。ファミリーも種類が多く、使用用途に合わせた太さ等が選べます。どの種類もバランスが良く、英語の文章を最も美しく作れるフォントの一つだと思っています。
ロゴやタイトルにも使いやすい、
雰囲気のある書体。「トラジャン」
TRAJAN [トラジャン]
トラジャンは1989年にAdobeが設計した「セリフ体」のフォント。その書体は、2000年もの昔のローマ皇帝トラヤヌス(西暦53年-117年)の記念碑に残されていた文字に使われていた書体です。
太古の昔に作られたフォントという点でもロマンがあります。
数千年前に生まれた書体というのが良いですね。当初はそういった知識もなく美しい書体だと思いつ買っていたのですが、一文字一文字バランスが良いこの文字を古代の人がデザインしていたと思うと驚愕です。
Adobe CC Adobe fontについて
Adobe CCの「Adobe fonts」をクラウドからダウンロードし、自由に利用できる機能がいつの間にか追加されていました。
フォントの内容は、一般的なデザイナーが利用できるかなりの数のフォントが利用でき、簡単にアクティベートする事で利用できます。Adobe製品をずっと利用する場合は、フォントは気にせずに利用できるようになり便利になりました。
英語の欧文フォントについては無料フォントでも良いフォントがたくさんありますので色々と探してみると楽しいですね。
フォントは時代を超えて好まれる。
フォントは、古くから存在しています。私がデザイン業界に入った頃も写研やモリサワなどと共に、モンセンの英文などをトレースして美しく、インパクトのある様々なフォントを活用していました。
そして現在でも、時代を超えて良いデザインは使われています。
最古のもので、2,000年ほど昔の書体が現代でも美しく感じる。これはロマンがありますね。
フォントの歴史や成り立ちを調べてみると、同じデザインでも意味合いや深みがまして素晴らしいデザインに思えてきます。ぜひプレゼン時にフォントのウンチクなども語ると良いかもしれません。
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代表 大津山 倖雄
クリエイティブディレクター
アートディレクター
Webディレクション、イラストレーション他、専門学校講師
1973年生まれ。福岡市で広告企画・制作に携わり30年以上。大手広告代理店の下請け会社で、グラフィックデザイナーを経験。その後、福岡の制作会社や広告代理店勤務を経て、平成18年4月に退職し、19年には個人事務所として独立。同時期、福岡デザイン&テクノロジー専門学校(旧 福岡コニュニケーションアート専門学校)にて講師契約。現在は、グラフィックデザイン、イラストレーション、WEBデザイン、WEBマーケティングに携わり、様々なクリエイターと共に制作を中心に業務を行っている。