CONTRACTイメージ

フリーランスや個人事業主の業務委託契約の話。

今日は、クリエイティブな話ではなく失敗の話になります。フリーランス・個人事業主になり十数年、これまで実際に経験した痛くて悔しい話です。良い経験となりましたので、これから始めようという方の良い教訓になればと思い、記事にすることにしました。
経験した出来事は、忘れがたい嫌な思い出なのですが、経験としては将来プラスになる部分が多い話ですね。

これまでの仕事の受発注はこんなもの…

30代前半ぐらいでしょうか、勤めていた会社を辞めて独立してすぐの頃は、専門学校講師の仕事が多く、事業収入はほんの僅かなものでした。さらに一つ一つの仕事も小さな案件で、パネル制作・フリーペーパーレイアウトのお手伝い・広報誌のイラストカット・チラシデザイン等、DTP系の仕事ばかりでした。また、知り合いからの紹介が主でしたので、受発注は、口約束やなんとなくお願いされ作成していたような気がします。

それから年月も経過し、ある程度大きめのクライアントが増え始め、多少ながらも安定してくると事業収入も増えてきます。

それでも、受注はこれまで通り電話やメールでお願いされていたと思います。

ずっと福岡市内で主に仕事をしているのですが、以前は契約書など、かしこまったやり取りはあまり好まれず、人と人との信頼関係重視のビジネスが多かった気がします。サラリーマン時代に大手広告代理店や印刷会社と取引していた頃は契約関連はしっかりやっていた記憶がありますが、独立後の仕事は、地元の中小企業や個人店舗からの依頼が主だった事もあると思います。それでも問題なく仕事はうまく運んでいた気がします。

しかしその後、大きなリスクもあるという事に気付かされます。

転落イメージ

クライアントの倒産

仕事の受注は代理店を通さず、直接依頼が主だった事と、過去に2社広告代理店勤務していた事からデザインやイラスト以外に、出来るだけ様々な種類の仕事を引き受けるというのが、私のスタンスとなっていました。その頃、不景気の影響でカメラスタジオやデザイン事務所などの業者さんが多く倒産していたのですが、クライアントの倒産は経験しておらず、お客さんが危ない状況になっていたとしても自分ならすぐに分かると、高をくくっていました。

そして、忙しい中突然電話で緊急の依頼がありました。ホームページ制作提案の依頼です。

新規の仕事なのに急ぎの依頼で、まだお得意先への提案という段階の話でした。電話口では少し横柄な態度の方で、あまり良い感じを受けなかったので断ろうかと迷っていた所、予想より高額の予算を提示されました。とにかく早く提出しなければならないので、やって頂けたら不採用でもお支払すると言う、うまい話だったと思います。※本当はここで怪しいと気づくべきだった。

とりあえず内容は頑張ればなんとかなりそうな内容だったので、それから急ぎで提案用の資料作成しました。資料と言っても、実際にデザインイメージはしっかり作り込み、イラストや画像は納期の関係で実際に使えるレベルのものにして欲しいとの事で、イラストレーターにも急ぎで依頼し、バタバタと仕上げました。

提出日の早朝5時ごろに、今日の朝一に持って行きたいと突然お願いをされ、早朝から無理して仕上げました。※ここでも普通でない依頼。

それから、数週間、何の連絡もありません。状況確認のメールを送りますが返信もありません。電話をかけるも連絡つながらない。

おかしいと思いながら時間が流れ、連絡もつかないため請求の話をするために会社に訪問しました。

会社には若い女性の事務員が一人だけ。社長はおられますか?と言っても外出して戻られてないと。後日訪問するも、あれからずっと帰ってこないと、事務員さんからは逆ギレのような対応されました。

何度も携帯に電話すると、やっと社長が電話に応答しました。必ず来週には振り込みます。と言われましたが案の定、振込はされず…。

そうです。その会社は倒産寸前だったようです。

何とか少しでも費用を回収しようと内容証明通知を書きました。

内容証明

▲このようなものです。書式が多少面倒でしたが、慣れてしまえば自分で書いて送れます。

通常は、これで何らかの返事があるはずなのですが、これでも返答が全くありません。
会社もすぐに立ち退かれたようで、場所もわからなくなりました。

裁判で、強制執行などの手続きも出来るとの事でしたが、現在の社長の所在地や資産状況、差し押さえる銀行など、自力で調べなければならないとの事で、興信所の費用や裁判にかかる費用などを考えると、相手から取り返せる金額も期待できず、泣き寝入りとなりました。

詐欺まがいの手口で踏み倒しまくる

前話のクライアント倒産は、本人は支払いたいが、出来なくなってしまったという話です。

しかし、明らかに騙そうとする人が登場します。

例の倒産事件からけっこう時間が過ぎた頃、また新規案件の相談がありました。

今回もホームページを作りたいとの相談で、関西の方に本社がある会社の社長からでした。

福岡に事務所は無いとの事で、カフェでお会いして打ち合わせをしました。ホームページの話は見積もりを送りますという事で、さらっと終わり、別件の話との事で、福岡に店を新しく店をオープンさせたいとの相談でした。

それから何度もお会いして、色々な事がありましたが、個人が特定されてしまいそうなので、詳しくは書けませんが、社長はかっぷくの良い温和そうな方で、気前もよく、色々と良くしてくれました。本当にいい人といった感じです。

新しくオープンするお店はフランチャイズを目指したいとの話で、ブランドイメージ、ロゴマニュアル、外観イメージから看板、ツール類のデザインなど、様々な作業を行いました。

しかし、お支払いの相談をすると、別件の細々した依頼をされてごまかされます。パッケージデザインや店舗装飾の依頼です。

何だかんだと支払いを遅らせようとするので、念の為印刷や看板設置などは、こちらで引き受けず、社長自ら直接依頼をするように即しました。すると、機嫌を悪くしはじめ、デザインに難癖を付けるようになりました。

その後、あまりにも請求の話をはぐらかすので、その頃完成していた店舗に、請求書を配達証明を送りました。

それからすぐに態度が一片、ものすごい剣幕で怒り出し、ここでは言えないような暴言を吐かれ。最終的には警察に相談するまでに。

この件は、私以外何人もの業者の方が同じ目に合われ、当然、法的手段も考えましたが、最初からこうなる事を見越していたようで、名刺の連絡先や、住んでいる場所など、調べるとすでにそこには居ませんでした。

更に調べると、資産など一切持たない人だったようで、最悪強制執行になったとしても、何も取るものが無い状態だったそうです。

こうやって故意に騙そうとされてしまっては、どうしようもないじゃないか、と言う人もいましたが、実際に回避されている人がいました。

それは私に相談に来る前、相談していたWEBデザイナーの方だったようです。

どうやって回避したかと言いますと、その社長は、私に連絡する前、あるデザイナーに相談依頼をしたらしいのですが、相談した最初の時点から、正式な契約書を交わしたいと言われたそうで、何だかんだと文句を言って帰ってもらったらしいのです。

悪意のある人は、契約書を交わすことを嫌がります。そのため、社長は文句を言って断ったようです。私には相手の態度が悪かっただの言っていましたが、実際はそうではなかったようですね。

一見、仕事のチャンスを失ってしまったかのような出来事でも、実は正解だった事が後になってからわかります。そしてそのデザイナー本人も気づかないうちに危機を回避していた事になります。

契約書は双方にとって、トラブルが起こった時にどうするべきか定めたものです。これにより仕事を受注する側も、発注する側も、安心して仕事が進める事ができる重要なものだったのだと思います。

業務委託契約書

▲現在使用している契約書。その都度内容を変更して使っていますので段々と精査されていきます。

契約書をかわす事について

これまでの経験で、何も約束事を書面に残さずに仕事を受注することは、あまりにも無防備だったのだと気付かされ、すぐに契約書の作成をはじめました。

しかし、契約書を交わすのにはハードルがありました。それはフリーランスの場合、立場も弱く、これまでの受注の流れを変える事になり、大変言いにくい。という点と、1案件の金額が小さすぎる場合が多いという点でした。

そこで、金額や仕事の内容により契約方法を変えることにしました。

  1. 印刷の増刷など、金額が少額すぎて契約は難しい場合
  2. 契約書を交わす事をクライアントに面倒だと言われる(思われそう)な場合
  3. ある程度の金額になる案件、または長期にわたる案件の場合

上記の1.と2.の場合、契約書を交わすことは実際難しい。その時は、別の書面を取り交わす方法を考えました。

まず、極端に少額な以来の場合、メールで見積を送り、その返信を頂いてから仕事をスタートするという事です。
E-mail(電子メール)、に発注記録を残しておく事で、一応証拠として利用することも可能と考えいます。

次に、見積もり依頼を頂いたが、少額であったりクライアントが面倒くさがるかも、と思える場合は見積書を、「見積もり確認書」、といった形式にし、最低限の契約内容も一緒に記載した見積書を提出し、それを返信してもらう方法を考えました。これであれば、担当者等のサインや印を入れて頂き、FAXやメールで返信して下さいと言えば、ほとんどの場合、問題なく返信していただけました。

また、新規取引の場合、最初から契約書をこちらで準備しておけば、問題なく契約書を取り交わす流れが作れます。

とにかく、何かしらの契約内容を書面等で残しておく事が重要ですね。

クライアントの心変わりでキャンセルになった場合など、契約書により費用の一部を支払って頂けます。

まだ、他にも苦い思い出はありますが、今考えると事前に回避出来る可能性のあるものも多くありました。

支払いが出来ない・しないクライアントは、お客様ではありません。そして支払いに全く問題のない正当なクライアントであれば、今度は私達クリエイターが詐欺を働いたり、お金だけもらって逃げるのではと思われてしまう可能性もあります。

ビジネスの場面で気兼ねなく契約書の話をする事は、お互いのために大切な事だと認識する事は大切です。

編集後記

今回の記事は、いつか書こうと思っていた失敗談です。自分の失敗をブログで晒す事は実際とても恥ずかしいのですが、実体験はインターネットでは学べないリアル感のある情報です。身を切る覚悟で発信してしまいました。他にも失敗談であればまだまだ豊富にありますが、恥ずかしすぎて話せない事ばかりです(笑)

毎日更新ブログを始めて1週間ぐらい経過しましたが、まだまだ形が定まっておりません。随時記事の方向性を精査しながら、出来るだけ良い記事づくりをしながら、勉強もしていけたらと考えています。

このブログを見て頂きありがとうございました。ご意見やアドバイス、文字間違いの指摘などございましたら、Twitter等SNSでお声掛け下さい。宜しくお願いします。フォロー・ご連絡はこちら→メインTwitterアカウント

フォローお願いします!