デザインに関する様々な大きさ(サイズ)の話
グラフィックデザインと言いましても、幅が広く、紙面構成以外に、CI、立体物や製品、WEBのような構造にかかわるデザインなど、様々ですが、主に、紙面デザインを指して、グラフィックデザインと言う事が多いように思います。
今回は、その紙面デザインにおいて、最初にどうしたらいい??と思う、サイズについての話をたいと思います。
目的によって制作物のサイズは違ってきます。
そのサイズにもある程度の決まりがあります。
印刷用のサイズの場合
まず、知っておきたい事としては、
「ビットマップとベクター、どちらでも印刷は可能ですが、ビットマップ画像の場合、解像度の確認が必要です。」
まず、ビットマップとベクターの違いを説明します。
- BITMAP(ビットマップ)画像
ドットで構成された、一般的な写真画像と考えて下さい。ドットの数により画質が違ってきます。 - Vector(ベクター)画像
方向を指定する点(アンカー)とそれを繋ぐ線(パス)により構成される図形をベクター画像と言います。
また、解像度についても知っておきましょう。
解像度とは、ビットマップ画像のドットの密度を表します。例えば1インチ(25.4mm)の長さの中に、ドット(ピクセル)が、何個並んでいるかのか、という数値です。
主に、ドキュメントファイルといって、実際に印刷されるファイルに対して、画質を確認するために、使われている言葉です。
通常画像データを利用する場合、原寸表示した時に、解像度が300〜350dpi(ppi)[1インチ内に何ピクセルあるのか?]必要です。足りない場合は、画質が劣化してしまう事があります。
様々な印刷物を創る場合、一般的にはベクターで作成する事が多いが、フォトショップ等、ビットマップ画像で作成する場合もあります。大型サイズの印刷物の場合、容量が大きくなりすぎるため、ベクター(Adobe Illustrator)で作成することをおすすめします。
様々な印刷物のサイズとその説明
- 名刺サイズ:【55×91mm】
名刺は、名刺入れなど、カードサイズです。このサイズは、一般的に利用されているサイズです。91mmという中途半端なサイズは、3寸の長さが約91mmである事のようです。また、55mmはその黄金比に近いサイズと言われているそうです。 - ポストカードサイズ:【100×148mm】
ポストカードサイズは、郵便はがきとして利用できるサイズになっています。郵便は、長編が140〜154mm×短編90〜107mm以内である必要があります。100×148は一般的な印刷所がよく使うサイズです。 - A4サイズ【210×297mm】
A4チラシ/A4冊子/A4リーフレット
A4サイズは、もっともビジネスで利用されているサイズです。殆どのビジネスカバンに丁度入るサイズです。小学生のランドセルもA4プリントが丁度入ります。よく使われる規格のサイズと言えます。 - B4サイズ【257×364mm】
B4チラシ
B4サイズは、A4サイズより大きく、折りたためば、比較的小さくなるサイズです。A4サイズより多くの情報が入り、また手頃なサイズなため、チラシに利用される事が多いサイズです。
大きすぎず、情報量も入るので、テスト等のプリントなどにも使われるサイズです。 - B3サイズ【364×515mm】
B3チラシ/B3ポスター
B3サイズになると少し大きいと感じるサイズです。家電量販店や流通系の商品情報を沢山入れるチラシなどに使われる事が多く、ポスターサイズにしても、比較的視認しやすいサイズです。掲示板など、スペースをとらずに貼れるポスターサイズです。 - A2サイズ【420×597mm】
A2ポスター
このサイズになると、大きくポスターとしても視認しやすい多きさです。掲示する場所によりA2サイズが丁度いいという場合もあり、稀にポスターとして利用されるサイズです。 - B2サイズ【515×728mm】
B2ポスター
大きめのポスターです。離れた所絡みても十分視認できるので、ポスターとして良く利用されるサイズです。 - B1サイズ【728×1030mm】
B1ポスター
最大サイズです。メートルを超えるサイズで、交通広告などに良く利用されるため、大型ポスターの定番サイズです。 - その他ポスターサイズ
B3ワイドサイズ:【364×1030】
B3を横に並べたサイズ。電車の中吊りのサイズです。
B0(B倍)サイズ:【1030×1456mm】
B1の倍の大きさ。超大型ポスターで稀に交通広告などで利用されるサイズ。印刷できる会社も少なく、特別な時に利用するサイズです。
最後に
印刷物や制作物をつくる場合、まず制作物のサイズを間違えないように調べます。あとは、そのサイズがすっぽり収まる大きさの、アートボード(Illustratorの作業領域)を作ります。丁度いい規格サイズがあれば、そのサイズでアートボードを作成します。そして、実際の印刷物の大きさに合わせたトンボを作り、印刷物のデザインを作り込むという流れです。
最初に大きさを決める場合、どんな制作物をつくるのか?
配布、なのか、掲示なのか、何処に設置されるのか、予算やターゲットなど、総合的にもっとも見合うサイズを決めてから制作をスタートします。
手配りに大きめのサイズを使ったり、大量の折込チラシに、厚手の紙を使うなどは無駄な経費がかかってしまいます。丁度いい大きさや丁度いい厚さ、など事前に知っておくのは、グラフィックデザイナーとしての基礎の一つになります。
また大きなサイズを折りたたむ場合、費用や折り方など、デザイン的な面など総合的な判断がひつようですので、難しい場合は、印刷会社さんに相談するなどすれば、適正なサイズや折り方などを教えてもらえます。
私も若い頃はそうやって、色々と人から教わったと思います。
今はインターネットで検索できるので、便利な時代になりました。
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代表 大津山 倖雄
クリエイティブディレクター
アートディレクター
Webディレクション、イラストレーション他、専門学校講師
1973年生まれ。福岡市で広告企画・制作に携わり30年以上。大手広告代理店の下請け会社で、グラフィックデザイナーを経験。その後、福岡の制作会社や広告代理店勤務を経て、平成18年4月に退職し、19年には個人事務所として独立。同時期、福岡デザイン&テクノロジー専門学校(旧 福岡コニュニケーションアート専門学校)にて講師契約。現在は、グラフィックデザイン、イラストレーション、WEBデザイン、WEBマーケティングに携わり、様々なクリエイターと共に制作を中心に業務を行っている。