
無料とは思えないフリーフォントと写研フォントの話
今回は、無料で使えるフリーフォントについての記事と、おまけで30年ほど前まで使われていた写研の書体の話をしたいと思います。以前は、フリーフォントといっても、欧文ばかりしか存在しませんでしたが、現在は漢字まで使える日本語のフリーフォントが沢山存在しています。また、殆どは、OpenTypeやTrueTypeのフォントで、簡単にシステムにインストール可能になっています。
私が厳選した、無料で商用にも利用できるオリジナルフォントを配布しているサイトをご紹介します。実はこれ以外にも沢山あるのですが、クオリティの高いものや、デザイナー的にとって使いやすいフォントを扱っているもの「9サイト」選んでみました。
“ロゴタイプゴシック”など、スッキリしていて、比較的美しいフォントがダウンロード出来ます。現時点で利用出来る書体数は、多くはありませんが、一つ一つがクオリティが高いので、パンフレットやWEBサイトなどでも活用できるベレルのものです。
女性向けのフォントというコンセプトのサイトで、よもぎフォントなどは、センスも良くかわいいフォントです。1書体ぐらいはインストールしておけば、よく利用する1軍のフォントになるかもしれません。
Asterism https://www.asterism-m.com/
子供が書いたような“ようじフォント”やマジックで書いたようなPOP向けの“たぬき油性マジック”など、特殊フォントが充実している印象です。配布が終了してしまうと勿体無いので、早めにダウンロードしておくことをおすすめします。
たぬきフォント https://tanukifont.com/
“シネマ明朝かな”や“1byteフリーフォント「TowerGothic KT」など完成度が極めて高いフォントがあります。漫画用フォントもこちらでダウンロード可能で、この完成度で全て無料というのがビックリですね。
FONT910 http://www.font910.jp/
“こころ明朝体”や“はんなり明朝”“こども丸ゴシック”など、個性的であっても使いやすそうなフォントや、“プラネタリウム”など、インパクトがあってかわいいフォントがおすすめです。
Typing art https://typingart.net/
カタカナや欧文フォント中心ですが、デザイナーが好みそうな、フォントが多く、ロゴタイプ制作に丁度いい感じです。カタカナ入力は、欧文を利用しているので、工夫しないとちょっと使いにくそうです。
[ gau+ | ガウプラ ] https://www.graphicartsunit.com/gaupra/
こちらも数種類ですが、オリジナルのフォントを無料配布しています。刻明朝など、丁寧に仕上げられたかな文字は、美しいキャッチコピーにうってつけで、ポスターなどに使えそうなフォントです。このフォントは、実際にインストールして活用させていただいています。
フリーフォントの樹 http://freefonts.jp/
肉球をイメージしたしろくまフォントがおすすめです。かわいいし、ブログタイトルなどにも利用できそうですね。こちらもおすすめフォントを提供しているWEBサービスです。
しろくまは冬眠したい https://www.lazypolarbear.com/
“回想体”や“ピグモ”など、個性的で、ロゴ制作に適してそうな、フォントが利用出来ます。商品ロゴなど、ロゴタイプ系は使い勝手がよさそうです。これもおすすめです。
漫画でよく使用されるコミックフォント!
漫画家は必須ダウンロード!
上記の“FOMT910”よりダウンロード可能な、漫画用フォント、“新コミック体”について。
このフォントは、漫画の“台詞”に利用されているフォントで、特徴としては、明朝体の可読性を持ちながら、漢字はゴシックになっており、複雑な形の漢字の視認性を確保したフォントで、それでいて見た目の印象は明朝もゴシックも同じフォントに見える、絶妙なバランスの書体です。普段読んでいる漫画雑誌等をよく見てみると、こういった漫画フォントが使われているのがわかります。これも無料で提供されているので、漫画を書いている方は、必ずダウンロードして欲しいフォントです。
漫画用フォント「新ゴシック体」 http://www.font910.jp/font-list/conposite-comic.html
かつて使われていた写研フォント
最後に、フリーフォントとは違いますが、フォントの話をしていると、いつも思い出す。“写研”のフォントの話をしたいと思います。写研は、かつて、アナログの写植時代に日本語書体として、業界でメインで使われていたのですが、デジタル化過渡期にデジタルフォント化がされなかったため、現在では利用できなくなった書体です。ゴナ、ナール、ゴカール等々、美しく完成された書体でしたが、書体メーカーの“モリサワ”や“フォントワークス”が提供していた、形の近い書体をデザイナーが認めたため、写研フォントは消えていきました。現在でも、デジタル化して取り扱っている会社はあるかもしれませんが、基本的に使えなくなった書体です。
とてもバランスの取れた書体で、当時の書体製作者が本気で作り上げた書体で、現在のフォントもこれらの書体を参考に作られています。下記の画像は、写植が無くなる時に、漢字は無理でしたが、かな文字だけでも、独自にデータ化したものです。テキストにこだわった作品作りに活用しています。
▼過去の記事で、書体に関する基礎のお話をしています。良ければこちらの記事も御覧ください。
【フォント】書体・文字・組版のはなし
第5回 アド・クリップ デザイン講座 【フォント】書体・文字・組版のはなし 今回は、デザイナーの基本でもある、フォント(書体)・組版の話です。 基本的な知識や、文…
編集後記
今回の記事は、フォントの話です。フリーフォントは、欧文のものは、かつて購読していた“Mdnデジタル”という雑誌の付録で100書体ゲットしていたのですが、使い方が独特で、結局あまり活用されていません。その点、日本語フォントは、厳選したものであれば、1軍フォントとして利用出来ると思います。タイポグラフィーはデザイナーにとって重要なデザイン要素で、良い書体を多く持っていると、デザインの底上げにも役立ちます。コツコツと集めておいて損はありません。
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代表 大津山 倖雄
クリエイティブディレクター
アートディレクター
Webディレクション、イラストレーション他、専門学校講師
1973年生まれ。福岡市で広告企画・制作に携わり29年以上。大手広告代理店の下請け会社で、グラフィックデザイナーを経験。その後、福岡の制作会社や広告代理店勤務を経て、平成18年4月に退職し、19年には個人事務所として独立。同時期、福岡デザイン&テクノロジー専門学校(旧 福岡コニュニケーションアート専門学校)にて講師契約。現在は、グラフィックデザイン、イラストレーション、WEBデザイン、WEBマーケティングに携わり、様々なクリエイターと共に制作を中心に業務を行っている。