文字について考えてみた。
今回は、デザイナー視点で“文字”について自由に考えた事を気ままに書きたいと思います。
フォントと文字について
文字と言えば、私達の視点だと“フォント”と言う人が多いのですが、正確にはフォントは“書体”になります。
書体とは紙面や画面上に表示される文字の形を表しています。
このフォントによりただの文章に“雰囲気”や、意味合いを与えることができます。
また、文字を“言葉”と捉えた場合、デザイナーにとってはコピーライターが作った“コピー”と捉えます。
コピーは、写真やイラストなどと同様にデザインの要になる重要な要素です。
言葉には意味やメッセージが含まれていますので、制作物に様々な情報を乗せるためには必要不可欠なものです。
DTP/グラフィックデザイナーにとって文字は仕事の道具でもあります。
WEBデザインの世界の文字
また、WEBデザインもグラフィックデザインの一つだと私は考えています。
デザインを作る上での技術は印刷物等の制作を得意とするグラフィックデザイナーと重なる部分が多く、実際にグラフィックデザイナー兼WEBデザイナーという人は多くいます。
私も以前はWEBデザイナーと名乗っていました。※現在はWEBデザイナーと組んで仕事をする形にしています。
そのWEBデザインとDTP/グラフィックデザインとの違いは、“文字”の使い方が大きく、一方的に発信するグラフィックデザインと違い、双方向でのやり取りにも使われます。
また、Googl等の検索エンジンとの親和性も文字による所が大きく、WEBサイトの内容や意味合いは全て文字→テキストで表されています。
人間が目視して感じるものと、GooglのAIが読み取る部分では違いがあり、それを意識した構造に作ることが大切になってきます。
また、実際にWEBサイトはテキストを使った“コード”や“プログラミング”により出来ている点があり、そういったシステム的な事を理解する思考がWEBデザイナーには必要になってくるようです。
文字はデザインの中でも重要な要素。
文字やフォントは、デザインの世界でもとても重要な要素ですが、当のデザイナーにとっては部品や絵柄のように見てしまうことがあります。
どういう事かと言うと、フォントや文字のブロックを文章と捉えずにデザイン要素の塊として見てしまう事です。
これは注意が必要で、若い頃に仕事を沢山こなすことが良いとされてきていた時代に、コピーライターから受け取ったコピーを、ただの絵柄としてデザインしていました。
最悪、一切読まずに作ることもありライターに全てを投げていたと思います。
現在はDTPオペレーターでも、文章の内容を理解して制作する時代です。効率重視で沢山仕事をこなす制作はデザイン物に“プラスアルファーの付加価値”をつけることが難しくなる気がします。
時間と労力をさいてでも、そもそもの制作物にもう一つ何かプラスになるものを見つけ出せれば良いモノが作れたと感じられ、後の仕事にも繋がってくるのだと思っています。
デザイナーの文章力について
デザインセンスやコンセプトワークと同じように、とても重要な要素として文章力があります。これは経験と努力が必要なものです。
グラフィックに携わっていると、この分野の専門家でもあるライターがいる事で、どうしても自らライティングを遠ざけてしまう傾向があります。
こういったブログなどでも、タイトル制作にコピーライティングや、文章の構成を考える機会になります。
稚拙でも何でも書くことで、多少でも文章力が身につくのでは無いかと思い、現在励んでおります。
コンセプトワークもワード選びやタイトル選定がとても重要です。
ユーザーに伝える言葉というのは、デザイン以上に重要であったりするものです。
ライティングは専門のライターにお願いするのがベストです。確かに餅は餅屋といいますが、時々は自らライティングに関わることで制作物の構造やアイデアをより理解できますし、そういったものづくりの理解はデザイン制作にも影響をおよぼします。
何でも吸収しようという姿勢は大切ですね。
文章を書くという行為も、デザインや仕事にかかわらず自分の生き方を文章として残したり、手紙を書いたり、ブログで多くの人に語りかけたりととても意味のある行為の一つです。
最後に校正について
文字とデザインの仕事を語る上で、外せないのが“文字校正”です。
この文字校正はとても重要で、万が一仕事が仕上がった後に重大なミスがあった場合、沢山の人に迷惑がかかり最悪賠償請求という場合も考えられます。
そうならないために、文字校正を行います。
校正には2種類あります。
1つ目は単純な文字校正で、一語一句間違っていないか原稿と照らし合わせて一文字一文字チェックしていく作業です。
2つ目は“意味校正”です。これは全体を何度か読み込んでみて、文章のつながりや内容的に問題がないかの確認を行います。
出来るだけ思い込みを捨ててフラットな気持ちで校正します。
さらに、制作者であるデザイナーやコピーライターは何度も文字面を見ながら作業しているため思い込みのミスがある事があるので、第三者にできれば校正してもらうと良いです。
仕事の上では、クライアントに確認してもらうのがベストです。
ただし、毎日更新ブログを書いていると校正する時間が大変なので後日ゆっくり読んで気がついたら修正する形にしています。
おかげで文字ミスが絶えませんが、ご容赦ください^^;
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代表 大津山 倖雄
クリエイティブディレクター
アートディレクター
Webディレクション、イラストレーション他、専門学校講師
1973年生まれ。福岡市で広告企画・制作に携わり30年以上。大手広告代理店の下請け会社で、グラフィックデザイナーを経験。その後、福岡の制作会社や広告代理店勤務を経て、平成18年4月に退職し、19年には個人事務所として独立。同時期、福岡デザイン&テクノロジー専門学校(旧 福岡コニュニケーションアート専門学校)にて講師契約。現在は、グラフィックデザイン、イラストレーション、WEBデザイン、WEBマーケティングに携わり、様々なクリエイターと共に制作を中心に業務を行っている。