高度なデザイン要素。
ピクトグラム(ピクトグラフ)について。
今回は、普段の生活でもよく見かける、ピクトグラム(ピクトグラフ)の話になります。
ピクトグラフとは、絵文字や象形文字などとも言われ、より多くの人が直感的に意味を理解したり、イメージしやすいようにしたマークの事です。
ピクトグラフはグラフィックデザインの世界でも重要視されています。また、そのデザインも洗練されており、広告などの公共的な作品にも多く使用されています。
著名なグラフィックデザイナーの中でもこのピクトグラフを得意とする人も多く、ひとつの形に様々な意味合いをもたせた洗練された物もあります。
上記の画像は、一般的に使われているピクトグラムの一部ですが、シンプルで、人型や乗り物など、多種多様です。良くアイコンと呼ばれる事もありますが、ここでは、ピクトグラムとしての話をしたいと思います。
アイコンは、マークやボタンに利用され、何かのメディアの素材として利用されることが多く、ピクトグラムは、デザイン要素としてクオリティが求められる事が多い気がします。
オリジナルのピクトグラム制作について
デザイン制作の場面で、ピクトグラムを使用する事は時々あります。ピクトグラムは、文字で伝えるより、伝わりやすく、形がシンプルである事で、直感的に情報を認識出来る利点があります。
また、文字のデザインと比べて、絵柄として見れるため、時にはポスターなどのメインビジュアルとしても活用さえる事もあります。
しかし、最もその効果が行かされるのは、情報を直感的にすばやく伝える現場です。下記の“医療向けピクトグラフ”では、パンフレットの衣料に関わる内容のページに利用され、ページのカテゴリをすばやく伝えられ、このマークのある項目は一目瞭然でわかるという仕組みです。配色と合わせて利用するとよりわかりやすくなります。
しかし、様々なカテゴリーを、シンプルなマークで表現するのは至難の業です。絵柄を見て一瞬でその意味を理解出来る事がピクトグラムの最も活かされた使い方だと思います。
しかし、上記の“プリベンション”など、何の意味なのか全くわかりません。
このプリヴェンションとは、「防止」という意味です。ここでのプリヴェンションは、予防ですので、予防医学の意味になります。そしてマークのデザインは、人型のまわりを丸い輪っかが覆っているデザインです。これは、バイキンやウイルスをバリヤーで守っているイメージですね。言われてみると、なるほど~っという内容だと思いますが、マークだけ見ても何なのかわかりません。
しかし、ピクトグラムは、見たまま伝える事が出来ればそれに越したことはありませんが、あまりにも具象的すぎる場合、デザインが細かく詳細になってしまう事があります。そうすると、ピクトグラムの認識のしやすさが損なわれていしまいます。
なので、出来る限り無駄な装飾や具象的な部分を省き、ギリギリまでシンプルにする必要があります。ここでは、完璧に情報を伝えられずとも、なるほどね!といった印象があるデザインであれば、マークとプリヴェンション(予防)という言葉がリンクして、記憶されますので、その後は、マークの認識はより伝わるものに変わってきます。
高速道路や道路の標識など、初めて見た人は何のことだかわからないが、教習所で勉強した人にとっては、様々な標識を、情報として瞬時に理解するようになります。こういった情報を効率よく伝えるデザインを「インフォメーションデザイン」や「コミュニケーションデザイン」といい、高度なデザイン技術の一つとして、デザイナーが活用しています。
レベルの高いグラフィックデザイナーには、こういったピクトグラムやダイヤグラムなどの、インフォメーションデザインを得意とする人も多く、高いセンスを必要とします。
デザインは、高度になるとよりシンプルの方へ向かいます。シンプルでセンスの良いデザインは、無駄がなく、すばやく情報を伝えることが出来る面が、アートとの大きな違いではないかと思います。
小さな仕事でも、見栄えの良いピクトグラムを使って、少しでも付加価値を高めたデザインを作るデザイナーは、とても好感がもてますし、他の制作物も手を抜かず良い仕上がりが期待できるデザイナーではないかと私は思います。
編集後記
今回は、ピクトグラムの話になりましたが最近は、アイコンデザインやアバターなど、インフォメーションデザインがとても重要になっている気がします。ネットなどの情報メディアでは、すばやく情報を伝えるビジュアルデザインが機能の一つとして価値があるようです。
アプリなどは、アイコンデザイン一つで数千万レベルの売上の差が出るそうです。
時代が変わっても、デザインは活かされていくものですね。
明日は、日曜日で、プライベートで終日出かける予定ですので、記事はどんなものになるか。でも何らかの記事は書きたいと思っています。
これからも毎日更新で記事を書き続けますので、今後も宜しくおねがいします。
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代表 大津山 倖雄
クリエイティブディレクター
アートディレクター
Webディレクション、イラストレーション他、専門学校講師
1973年生まれ。福岡市で広告企画・制作に携わり30年以上。大手広告代理店の下請け会社で、グラフィックデザイナーを経験。その後、福岡の制作会社や広告代理店勤務を経て、平成18年4月に退職し、19年には個人事務所として独立。同時期、福岡デザイン&テクノロジー専門学校(旧 福岡コニュニケーションアート専門学校)にて講師契約。現在は、グラフィックデザイン、イラストレーション、WEBデザイン、WEBマーケティングに携わり、様々なクリエイターと共に制作を中心に業務を行っている。