
DTP/印刷入稿時のデータチェックについて
今回は、印刷時の入稿チェックについてのお話です。
印刷物は、仕上がってしまった後に“ミス”が見つかった場合どうする事もできません。最悪印刷の“刷り直し”となります。そのため最終校正を念入りに行いますが、文字校正以外に印刷データの確認も重要です。今回はDTPの知識として最低限知っておきたいお話になります。
トンボ[トリムマーク]チェック
トンボ(トリムマーク)は、印刷物を作成する場合に欠かせないものです。紙面サイズを指定し、印刷の際をきれいに印刷するための“塗り足し”などをつけておきます。
トンボの色に関する設定は、「レジストレーション」設定となっています。レジストレーションは、とんぼのみに設定するもので、見た目は黒色になっていますが、データ的には、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4版全て、100%の濃度になっています。これにより、4つの版全てにトンボが表示される事になります。各4版の紙面の位置はトンボによって固定するので、必ずトンボが表示されている必要があります。
リンク画像のチェック
リンクとは、実際に紙面に表示されている画像とは別に、印刷時にデータを引き出すための元画像とのつながりをリンクと言います。リンクが切れると(ファイル名が変わる、ファイルの場所が変わる等でリンクが切れる)画像が表示されず、印刷出来なくなります。このリンク切れをチェックする必要があります。
イラストレーターのレイアウトデータと共に入稿(印刷会社へデータ を渡す)するファイルに画像ファイルがあります。画像は、EPS という ファイル形式で保存し、イラストレーターのレイアウト上では配置(画像のリンク)し、リンクした元画像は、レイアウトデータと同じ階層のフォルダ内に入れておく必要があります。 また、レイアウトファイル自体も EPS 形式で保存する場合があります。また、データが軽い場合や使用する画像数が比較的少ない場合は、画像をリンクではなく「埋め込み」します。埋め込むと、完全に画像がIllustratorの一部となり、リンク切れの必要は無くなります。ただし、Illustratorの処理はデータ容量の分、遅くなる事があります。印刷用データは解像度が高く、容量が大きいため、少しでも処理を早くするため、“EPSファイル化”“画像リンク”が必要になります。リンク切れの場合、再入稿が必要になるため、最悪納期に間に合わなくなるなどのトラブルが起こります。
“のせ”“オーバープリント”のチェック
オーバープリントとは、実際に紙に印刷した時のインクの色の重なり方を指定 できます。オーバープリント設定の場合は、色が「のせ」と言う状態になり、印刷時に実際に色が重なります。問題点は、オーバープリント設定をしても、データ 上では見た目に変化が見られない所です。 万が一間違ったオーバープリント設定がされていないかの確認が必要です。
Illustrator上での解像度設定[ラスタライズ効果設定]について
データ作成に、Illustrator上でも、一部だけPhotoshopと同様のフィルターやエフェクトが利用出来ます。これは、Illustratorの編集用に一時的にオブジェクト(Illustrator上での図版類)を、一時的にラスター画像化(ベクター画像をドット(ピクセル)で作成される画像にする事)した状態にする機能があるからですが、この機能は“効果メニュー”から利用できます。効果メニューを利用する場合は、必ず注意するべき事があります。それは「ラスタライズ効果設定」です。 効果メニューでは、Photoshopと同様にオブジェクトをビットマップ画像として加工します。そのため、この効果メニュー内にある「ラスタライズ効果設定」により解像度を設定する必要があります。
モニターで表示する場合は、表示解像度は72ppi(dpi)、印刷物の場合 300ppi(dpi)にしておきます。
設定を忘れてしまうと、画質が悪くなってしまいます。
また、後から設定を変えた場合も、紙面での表示が変化してしまうため、仕上がりの注意が必要です。
データ入稿について
今回のテーマは、DTPにおける最終段階の印刷入稿の話です。入稿は、自分から手を話してしまい、あとは営業さんや印刷オペレーターなど、多くの人の手をかけて完成まで、仕上げてもらう事なります。その際に自分のミスから、多くに人に迷惑をかけてしまい、クライアントの信用まで失いかねない重要な工程です。納期がギリギリであったり、印刷部数が多い・印刷費が高額であったりする場合、失敗は許されない状況になり、非常に緊張します。データチェックは、落ち着いた状況で、一つ一つ丁寧に行い、チームで確認を行うようにする事が大切です。

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代表 大津山 倖雄
クリエイティブディレクター
アートディレクター
Webディレクション、イラストレーション他、専門学校講師
1973年生まれ。福岡市で広告企画・制作に携わり29年以上。大手広告代理店の下請け会社で、グラフィックデザイナーを経験。その後、福岡の制作会社や広告代理店勤務を経て、平成18年4月に退職し、19年には個人事務所として独立。同時期、福岡デザイン&テクノロジー専門学校(旧 福岡コニュニケーションアート専門学校)にて講師契約。現在は、グラフィックデザイン、イラストレーション、WEBデザイン、WEBマーケティングに携わり、様々なクリエイターと共に制作を中心に業務を行っている。